ARG製作者にARGオタクが率直な疑問をぶつけてインタビューしてみた!
ARGクリエイターの方ってなかなか表に出てこないので、どんなことを考えて創作しているのかが結構ナゾですよね。
ということで今回は~!!
私、佐藤にほの師匠であるARG製作者おこりざる「https://x.com/opiopiopu?s=21」さんに疑問をインタビューしてきました!
Q1.ARGって何って聞かれたときに、なんて返していますか?
最近、私がよく使う説明は「普段あなたが触れるアイテムをきっかけにゲームが始まり、参加者が登場人物になるタイプの推理ゲーム」というようにしています。
ARGは人に説明するのが本当に難しいですよね。
りんごを見たことない人に、りんごを伝えるなら「果物×赤い×シャリシャリした甘い触感です」とか言わずに、りんごを見せて食べさせたら一瞬で理解させられますよね。しかし、ARGにはこういった一瞬でこれがARGだ!という現物も、また言葉でも分かりやすい説明ができている人を見たことがありません。
いつか、「好きなものはARGです!」っていった時に、説明がいらなくなる時代がきたらいいなーと願っています。
Q2.ARGって何がおもしろい?
私がARGを好きな理由は、「こうだったら世界はもっと面白いのにな」という想像を、現実の世界で本当に起こるところ起こせるところです。
学校で授業が退屈なときや職場で仕事が面白くないときに…
学校で寝ていたらテロリストが入ってきて、それを倒したり逃げたりする妄想をしたり、検索してはいけない言葉を調べたら怪しい会社のサイトがヒットして、その企業がすごく悪徳な事業を行っていて大変な事件に巻き込まれたり…というような妄想をした事はありませんか?
そんな妄想の世界をゲームにして現実に作ることができるのがARGの魅力です。
好奇心が旺盛で日常に退屈を感じている人ほど、ARGのおもしろさを実感しやすいのかなと考えていますね。
Q3.ゲーム難易度の調整はどうしている?
いろんなタイプのARGがあって良いと考えていますが、私が自分で制作するときは、次の3点を特に重視しています。
・初心者でも楽しめる難易度レベルにする
・誰でも解けるが、ひらめきが必要になる謎にする
・ストーリー上の妥当性がない謎は入れない
この三つを軸に、難易度と物語のバランスを調整しています。
ARGの難易度調整は、「簡単すぎてもつまらない、難しすぎても離脱される」という両極の間でバランスを取る必要があります。ここがいちばん難しい部分です。
プレイヤー層も一枚岩ではありません。謎解きが好きな人、ストーリーを楽しみたい人、謎解きは苦手だけれど物語が好きな人。このように好みが大きく分かれているため、全員が楽しめるラインを探ることが常に課題になります。
そのうえで、難易度だけでなく「物語として謎がそこに存在する必然性」も重要です。謎解きがストーリーと結びついていないと、ARG特有の没入感が弱くなってしまうからです。
▼ 妥当性の例
「学校にテロリストが侵入する」という設定のARGを作ると仮定します。
このとき、次の二つの案があった場合、ARGとして妥当なのは②です。
テロリストが突然「命が欲しければ謎を解け」と言い、唐突に動物の図謎を出す
テロリストにダイヤル手錠をかけられ、テロリストが席を外した3分間で手錠を外せるチャンスが生まれる
②は、状況そのものが“謎解く理由”になっており、物語への没入感を損なわないためです。
Q4.テーマ設定はどうしている?
ARGは、参加者の能動的な行動によってはじめて成立するゲームです。
そのため、
- 緊急性
- 感情の波が大きく動く
- 欲に直結
こういったものをテーマに選んだり、ストーリーに入れるように意識しています。
例えば、「6日以内に~~しないと秘密がさらされる」という時間制限を設けたり、「死にたくない・もてたい・働きたくない」などの欲や感情を取り扱うことでユーザーが行動してくれやすくなります。
結果的に、ARGってテーマが生死やホラー寄りになりがちですよね。
Q4.悪役(敵)をどう設定するか?
宇宙人や悪魔のようなファンタジー色のつよい敵を出すと一気に作り物感が強くなるため、ARGでは悪役に以下のようなリアル寄りの敵が使われることが多いです。
- ブラック企業
- いじめ
- 政治的な圧力
- パワハラ
- 閉鎖的なコミュニティの村や宗教
- 犯罪者
こういった、リアルでいそうなペルソナや団体がよく使われます。
ただ、悪役の設定は慎重さが必要だなーと感じることが多いです。というのも、リアルな悪役はプレイヤーの記憶やトラウマに触れてしまう可能性があるからです。
たとえば閉鎖的な島を舞台にした作品が予想外に売れて、拡散されて、島で過去になにかトラウマがあったプレイヤーに「やっぱり島は怖い」という印象をフラッシュバックさせてしまうことは本意ではありません。ブラック企業に勤めていて疲れすぎてしまった人に過去の嫌な思い出をよみがえらせてほしいわけでもありません。
こういった配慮への対策としては、ARGであることを明記する以外にも、悪役を誇張するのが効果的だと考えています。たとえばテーマをブラック企業に設定するのであれば、実際のブラック企業であればやらない言わないようなオーバーなこと(ただ働きさせる方法を教えます‼など)を言わせてしまえば、コメディ要素が強まるのでプレイヤーも接しやすくなります。
あくまでゲームとして成立させつつ、現実の人や場所を不必要に傷つけないようにすることは大事だと考えています。
Q5.稼げる?
ARGは商業化&PRするとラビットホール感が薄れる問題が発生するので、ARGをゲームとして使うのであれば稼ぎにくいジャンルだと思います。
例えば、ARGを商品サイトで有料コンテンツとして販売すると、プレイヤーはゲームを購入してからARGスタートするので、ラビットホールを偶然見つける体験や、日常が侵食されていく感覚が弱くなります。
とはいえ、全く稼げないわけでもなく、周辺コンテンツの販売やキャラのIP化、プロモーションとしての活用、ギミックにKINDLEを置くことでページビュー収益を得る、等、やりようはあります。
お金とラビットホールのバランスに関しては、マネタイズすることで新たに面白いものを作るためにマネタイズしたいってのが本意なので、日々模索しています。
Q6.ARGの市場は今後どこまで伸びる?
ARGの市場は、来年から再来年にかけて加速度的に拡大していくと考えています。とくに現在のムーブメントは、第四境界様の圧倒的な影響力によるところが大きいでしょう。
いまARGを支えている多くのプレイヤーは、もともと謎解きやモキュメンタリー、イマーシブ作品などを通してARGに触れた人たちだと思います。探究心や好奇心が強く、難易度の高い謎に向き合える知的さ、長文を読みこなすリーディング力も備えています。第四境界様のお仕事がすでに来年まで埋まっている状況を見ると、大手資本との連携も進み、さらにプレイヤーは増えていくはずです。
一方で、長期的な伸び方については少し懸念があります。ARGという文化がハイソ(high society)化してしまうと、成長が止まってしまうのではないかという点です。
・初心者には理解しづらいレベルの高難度化
・メタ推理の前提化
・古参プレイヤー向けに複雑化していくストーリー設計
といった流れが進むと、「今いる古参だけが楽しめるジャンル」になりかねません。
だからこそ、個人的にはもっと初心者が入りやすいARGが増えてほしいと感じています。
ARGを「気軽に楽しめるもの」として、簡単な謎/くだらないストーリー/ゲーム自体の無料化などできることはあると思うので、私自身がんばろう~と思っています。
Q7.作っていて大変なことは?
プレイヤーが正規ルートでクリアできるように、ゲームを設計することです。
ARGでは、こちらが予想していない方法でクリアしてくる人が必ず出てきます。
そのため、
- 正規ルートに自然に流す導線
- 正規ルートから外れたときのフォローや警告
これらがとても重要です。
一例になりますが、探索型ARGを作成する場合に以下のような正規ルート外からのクリア者がでる場合があるので、それぞれ対策が必要です。
・カノニカルリダイレクトを使ったURLのメタ推理
・PAGEIDを0~1000くらいまで順番に入力していくマッチョ謎解き
・ページのソースコードを見て、次ページのURLを発見
・Googleのインデックスからクリアページの発見、、、等
リアルイベントになると、想定外なことはより増えていくので、ぶっちゃけARG運営ってハードですよね。
※余談ですけど、仕込んでいるギミックが先バレすることも作っていて大変だなと思います。予想よりギミック(例えばカクヨムやXなど)がヒットしてしまった場合にストーリーを変化させていく必要がでてきます。またXなどプラットフォームのルール改変により急な凍結リスクもあるので、リリースしたら終了、ではなくて、プラットフォームを増やす場合はこまめなメンテナンスが必須です。
Q8.ARGの最新ニュースはどうやったら知れる?
その中で、ARGの最新ニュースを追うなら、Xが一番おすすめの媒体になります。
私はよく、以下の方々の投稿から勉強させてもらっています。(敬称略)
石川淳一@エレメンツ
https://twitter.com/ele_jun?s=20
丑刻ころすけ
https://twitter.com/ObakePenguin?s=20
えぴくす
https://twitter.com/epi_x?s=20
けんぼー
https://twitter.com/kenbo_games?s=20
◣ ◥◣SIM3◥◣ ◥
https://twitter.com/sim_CF?s=20
第四境界
https://twitter.com/daiyonkyokai?s=20
風簷(ふうえん)
https://twitter.com/fuen_dreamer?s=20
リー猫
https://twitter.com/reethecat000?s=20
皆さんARG愛たっぷりのポストをよくされていて、製作者としていつも元気を頂いております。ありがとうございます。

